なんとかやっている日記

成人男性の手記です

感想

空白

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ひたすら重く、映画的な展開は無い

個人的満足度:80点

思ってた内容とはまた違う感じだった。キャッチコピーの「父、暴走」のせいでもっと手の付けられないような破滅的な暴走をするのかと思ったら、割と明確に法に触れるようなこともなく地に足ついた苦しみのほとばしらせ方をしていた。

古田新太さん演じる「気難しくて威圧的な漁師」充の言葉遣いが「ふざけんなよ」「るっせーよ」「~だろうね?」「だよ」など妙に若々しく、今っぽいというか迫力がそこで急に拍子抜けする違和感がずっとひっかかってたんだけど、そこらへんにこういう作風の監督が気を配らないとも考えにくいので、逆に生々しくもあり、そうかこういう言葉遣いの人間がもうこれくらいの世代なってんのか~と思ったり。

松阪桃季さん演じる青柳の感情を表に出てこない、出せないんじゃなくて出すのをやめた「後天的陰キャ」な感じはただのありきたりな根暗臭がゼロですげえな職人芸だなあと感動しきりだった。それがとあるシーンで爆発するんだけどそのタイミングがまた切ねえ!そういうところに出しちゃう矮小さとその直後の行動がもうね…

野木青年が終始寄り添ってくれる安心感は劇中唯一の心のよりどころかつファンタジー要素で、「こんな人いねえよなあ」と思いつつもでも「こういう人に助けられてる人も確かに存在してるだろうなあ」とグズグズ考えたりした。こんな人間になりたいよなあ。

寺島しのぶさん演じる善意の暴力とその根源のネットリな感じ、その顛末の辛さも素晴らしいが、これ性別逆だったら誰が合うかな…とか考えてた。温水さんとか?テンプレになっちゃうか。こういうとき性別、あるよな~!何がとはまあ…

 

騙し絵の牙

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邦画ポスターって顔並べるの好きよね

個人的満足度:30点

ネタばれあらすじ:人の裏をかくのが得意すぎる大泉洋が繰り広げるスカッとジャパンだけど最後にスカッとジャパンされてしまう!?

有名俳優がいっぱい出る再現VTRって感じ。そんで一番ムカつくのは展開のために積み上げられる「ご都合展開」の連続!

・出版社の内紛で特番組まれ、全国ニュースになる

・小説の漫画化で記者会見(俺が知らないだけか?)

・毎回めちゃめちゃ人が集まる本屋イベント

・謎の影響力をもつかもめ食堂の人

・昔話題になったとかいう同人作者のネームバリューだけでやる気出す大物たち

・主人公のアイデア本屋に初日から客殺到

いちいち上げてたらキリないけど、現実とは別の世界線にすら見える価値観の展開が繰り広げられてて「そんなことある?」が頻発するのでウンザリした。「騙し合い」「全員嘘をついている!」などとコピーで煽ってたもののべつに物語のキーになるウソはメインキャラのみ。アフタースクールとかアヒルと鴨のコインロッカーみたいなの期待してたらがっくり来た。セスナのシーンも「こんなにもまっすぐな編集者です、どう???」感うるせ~~~し!一番ムカついたのは最後スカッとジャパン返しされてしまう大泉洋が行うある行動で、それまで深みのある大人物に見えていた時間が台無しになってしまった。あそこは大笑いするとか一気飲みしてむせるとかクゥー!とおどけるとかそういう方がよかったと思うんだよな。お前のやり方を学んで大成功()したじゃんなんでキレてんだよ!とにかく全編にわたって出版社が作家とそういう舞台装置がやたらでかい存在級位になってるのがキモかった